以前に建築基準法改正で建ぺい率の緩和の条文の改正を説明しました。
この建築基準法第53条第3項第1号イで出てきた延焼防止性能という言葉。正直初めて聞きました。だんだん細かくなってややこしくなるなー。しかし建築基準法改正されたばかりなので、問題に出てくるかもしれません。しっかりみていきましょう。あー去年の試験はこの改正は反映されてなかったし、去年合格していればややこしくなかったのにー(泣)
建築基準法施行令第135条の20
延焼防止性能は令135条の20に定められています。
法第53条第3項第1号イの政令で定める建築物は、次に掲げる要件に該当する建築物とする。
一 外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備が設けられていること。
二 壁、柱、床その他の建築物の部分及び前号の防火設備が第136条の2第1号ロに掲げる基準に適合し、かつ、法第61条に規定する構造方法を用いるもの又は同条の規定による認定を受けたものであること。
2 前項の規定は、法第53条第3項第1号ロの政令で定める建築物について準用する。この場合において、前項第二号中「第136条の2第一号ロ」とあるのは、「第136条の2第二号ロ」と読み替えるものとする。
1項1号はわかると思うので、1項2号に書かれている第136条の2第1号ロと法第61条についてみていきましょう。
建築基準法施行令第136条の2第1号ロとは?
当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間(建築物が通常の火災による周囲への延焼を防止できる時間をいう。以下この条において同じ。)が当該建築物の主要構造部及び外壁開口部設備(以下このロ及び次号ロにおいて「主要構造部」という。)がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該主要構造部等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。
上記が条文ですが、これに適合するのが延焼防止建築物にあたります。では赤線のイに掲げる基準とは何でしょう。下記が令第136条の2第1号イです。以前の法では法第61条及び法第62条で耐火建築物としなけらばならなかった規模及び技術的基準にあたります
主要構造部が第107条各号又は第108条の3第1項第1号イ及びロに掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備(外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に設ける防火設備をいう。以下この条において同じ。)が第109条の2に規定する基準に適合するものであること。ただし、準防火地域内にある建築物で法第86条の4各号のいずれかに該当するものの外壁開口部設備については、この限りでない
またも赤線を引きましたが令第107条は耐火性能に関する技術的基準です。耐火構造に関して政令で定める基準ですよね。 青線の令第109条の2は遮炎性能に関する技術的基準です。
建築基準法施行令第107条
法第2条第7号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
一 次の表に掲げる建築物の部分にあっては、当該部分に通常の火災による加熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
二 壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が1時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、30分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。
三 外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が1時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、30分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。
令第108条の3第1項第1号イ及びロの中身をみていきましょう。
法第2条第9号の2イ(2)の政令で定める技術的基準は、主要構造部が、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 主要構造部が、次のイ及びロ(外壁以外の主要構造部にあつては、イ)に掲げる基準に適合するものであることについて耐火性能検証法により確かめられたものであること。
イ 主要構造部ごとに当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、当該主要構造部が次に掲げる要件を満たしていること。
(1) 耐力壁である壁、柱、床、はり、屋根及び階段にあつては、当該建築物の自重及び積載荷重(第86条第2項ただし書の規定によつて特定行政庁が指定する多雪区域における建築物の主要構造部にあつては、自重、積載荷重及び積雪荷重。以下この条において同じ。)により、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(2) 壁及び床にあつては、当該壁及び床の加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度(当該面が面する室において、国土交通大臣が定める基準に従い、内装の仕上げを不燃材料ですることその他これに準ずる措置が講じられている場合にあつては、国土交通大臣が別に定める温度)以上に上昇しないものであること。
(3)外壁及び屋根にあつては、屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものであること。
ロ 外壁が、当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が一時間(延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、30分間)加えられた場合に、次に掲げる要件を満たしていること。
(1)耐力壁である外壁にあつては、当該外壁に当該建築物の自重及び積載荷重により、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(2) 外壁の当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度(当該面が面する室において、国土交通大臣が定める基準に従い、内装の仕上げを不燃材料ですることその他これに準ずる措置が講じられている場合にあつては、国土交通大臣が別に定める温度)以上に上昇しないものであること。
結局簡単に言うと?
改正前の法第61条や法第62条で耐火建築物が求められてた基準に適合させた場合で計算した延焼防止時間以上の延焼防止時間を確保できれば良いと言う事。具体的な内容は告示が出ています。
防火地域又は準防火地域内の建築物の部分及び防火設備の構造方法を定める件(令和元年国土交通省告示第194号)
こちらを参照してください。