建築基準法改正に伴い、共同住宅等の界壁、主に建築基準法施行令第114条第1項(建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁)や建築基準法第30条(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)の代替措置が規定されるようになりました。それについてみていきましょう。
建築基準法施行令第114条第1項の内容
長屋又は共同住宅の各戸の界壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の界壁を除く。)は、準耐火構造とし、第112条第3項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
令第114条第1項の中身です。赤線の部分が追記されました。要するに改正前には長屋又は共同住宅の各戸の界壁は準耐火構造で小屋裏等に達しなければなりませんでした。これについては、少し前からレオパレスが界壁の施工不良問題で騒がれていました。ではこの追記の部分をみていきましょう。
建築基準法施行令第112条第3項
法第21条第1項の規定により第109条の5第1号に掲げる基準に適合する建築物(通常火災終了時間が1時間以上であるものを除く。)とした建築物、法第27条第1項の規定により第110条第1号に掲げる基準に適合する特殊建築物(特定避難時間が一時間以上であるものを除く。)とした建築物、法第27条第3項の規定により準耐火建築物(第109条の3第2号に掲げる基準又は一時間準耐火基準(前項に規定する1時間準耐火基準をいう。以下同じ。)に適合するものを除く。)とした建築物、法第61条の規定により第136条の2第2号に定める基準に適合する建築物(準防火地域内にあるものに限り、第109条の3第2号に掲げる基準又は1時間準耐火基準に適合するものを除く。)とした建築物又は法第67条第1項の規定により準耐火建築物等(第109条の3第2号に掲げる基準又は1時間準耐火基準に適合するものを除く。)とした建築物で、延べ面積が500㎡を超えるものについては、第1項の規定にかかわらず、床面積の合計500㎡以内ごとに1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画し、かつ、防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分(床面積が200㎡メートル以下の階又は床面積200㎡以内ごとに準耐火構造の壁若しくは法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で区画されている部分で、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けたものをいう。第114条第1項及び第2項において同じ。)その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、次の各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
一 天井の全部が強化天井(天井のうち、その下方からの通常の火災時の加熱に対してその上方への延焼を有効に防止することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。次号及び第114条第3項において同じ。)である階
二 準耐火構造の壁又は法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で区画されている部分で、当該部分の天井が強化天井であるもの
上記は令112条第3項の条文です。このうちの各号いずれかに該当する場合界壁が小屋裏や天井裏に達してなくてもいいと言う事です。簡単に言うと天井を強化天井にしなさいということです。国土交通大臣が定めた構造方法というのは下記に定めています。
遮音界壁。建築基準法第30条。
長屋又は共同住宅の界壁については、先ほどの準耐火構造の壁に加えて遮音性能が求められていました。
長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
一 その構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
二 小屋裏又は天井裏に達するものであること。
2 前項第二号の規定は、長屋又は共同住宅の天井の構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために天井に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、適用しない。
上記は法第30条の条文ですが、第2項が追加された内容です。先ほどの界壁と同じように天井の構造が政令で定める基準をクリアしていれば、界壁は小屋裏や天井裏までいってなくてもいいですよ。ということ。この政令で定める基準は令第22条の3で定めています。
建築基準法施行令第22条の3
法第30条第1項第1号(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、次の表の上欄に掲げる振動数の音に対する透過損失がそれぞれ同表の下欄に掲げる数値以上であることとする。
2 法第30条第2項(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、前項に規定する基準とする。国土交通大臣が定めた構造方法は昭和45年建設省告示第1827号に定められています。
共同住宅等の界壁に係る建築基準法改正のまとめ
今回は共同住宅等の界壁部分の建築基準法改正についての内容でした。簡単ですよね。今まで、準耐火構造で遮音性能を満たした界壁を小屋裏や天井裏に達しなければならなかったのが、天井にある一定の性能を持たせる事により、小屋裏等に達しなくてよくなりました。 内容は簡単ですが、レオパレスの案件があったので、問題の選択肢に出てくる可能性ありですので答えれるようにしておきましょう。