建築基準適合判定資格者検定合格への勉強法

建築基準適合判定資格者の試験を2度落ちて、今回3度目。3度目の正直となるように、勉強のモチベーション確保と頭の整理も兼ねてブログ内で整理します。主にややこしい問題や間違えやすい問題を重点的にまとめています。建築基準適合判定士だけでなく1級建築士の法規の試験にも役立つかも。このブログで書いてある事は、あくまでも建築基準適合判定士試験に向けての内容であり、実務での取扱い等は管轄の特定行政庁や指定検査機関に問合せてください。また、記事内容は最新の情報ではありません。

【建築基準法改正】準防火地域内の耐火建築物や準耐火建築物の試験対策。

以前このような問題の選択肢が出てたことがあります。

準防火地域内において、延べ面積600㎡、地上2階建ての診療所(各階の診療所部分の床面積が300㎡であって、患者の収容施設がないもの)を新築する場合、耐火建築物としなければならない。

正しいか誤りか。答えは誤りです。中身を詳しく見ていきましょう。

 

建築基準法第62条から法第61条へ

以前は防火地域内の建築物が第61条、準防火地域内の建築物が第62条に規定されていました。それが建築基準法の改正により法第61条にまとめられてのです。

 防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、門又は塀で、高さ2m以下のもの又は準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、この限りでない。

上記が法第61条の条文です。防火地域、準防火地域が一緒に載ってます。そしてそれぞれの建築物の規模に応じて政令で定める技術的準が定められています。この政令が令第136条の2です。

建築基準法施行令第136条の2の内容

 法第61条の政令で定める技術的基準は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一 防火地域内にある建築物で階数が3以上のもの若しくは延べ面積が100㎡を超えるもの又は準防火地域内にある建築物で地階を除く階数が4以上のもの若しくは延べ面積が1500㎡を超えるもの 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準
 イ 主要構造部が第107条各号又は第108条の3第1項第一号イ及びロに掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備(外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に設ける防火設備をいう。以下この条において同じ。)が第109条の2に規定する基準に適合するものであること。ただし、準防火地域内にある建築物で法第86条の4各号のいずれかに該当するものの外壁開口部設備については、この限りでない。
 ロ 当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間(建築物が通常の火災による周囲への延焼を防止することができる時間をいう。以下この条において同じ。)が、当該建築物の主要構造部及び外壁開口部設備(以下このロ及び次号ロにおいて「主要構造部等」という。)がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該主要構造部等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。
二 防火地域内にある建築物のうち階数が2以下で延べ面積が100㎡以下のもの又は準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が3で延べ面積が1500㎡以下のもの若しくは地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡を超え1500㎡以下のもの 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準
 イ 主要構造部が第107条の2各号又は第109条の3第一l号若しくは第二号に掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備が前号イに掲げる基準(外壁開口部設備に係る部分に限る。)に適合するものであること。
 ロ 当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が、当該建築物の主要構造部等がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該主要構造部等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。
三 準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡以下のもの(木造建築物等に限る。)次のイ又はロのいずれかに掲げる基準
 イ 外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分が第108条各号に掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備に建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、当該外壁開口部設備が加熱開始後20分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)に火炎を出さないものであること。ただし、法第86条の4各号のいずれかに該当する建築物の外壁開口部設備については、この限りでない
 ロ 当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が、当該建築物の外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分並びに外壁開口部設備(以下このロにおいて「特定外壁部分等」という。)がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該特定外壁部分等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。
四 準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡以下のもの(木造建築物等を除く。) 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準
 イ 外壁開口部設備が前号イに掲げる基準(外壁開口部設備に係る部分に限る。)に適合するものであること。
 ロ 当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が、当該建築物の外壁開口部設備がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該外壁開口部設備の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。
五 高さ2メートルを超える門又は塀で、防火地域内にある建築物に附属するもの又は準防火地域内にある木造建築物等に附属するもの 延焼防止上支障のない構造であること。

上記が令第136条の2の条文です。

第一号は以前の耐火建築物が求められてた規模。

第一号は以前の防火地域内及び準防火地域内の耐火建築物が求められていた規模です。これがまとめられて第一号に記載されています。耐火建築物が求められている規模は以前と同じです。耐火建築物に求められる性能も同じです。ただし、第一号ロが追記されています。耐火建築物以外に延焼防止性能を有する建築物でもいいということです。これに関しては別の記事で説明しています。

第二号は以前の準耐火建築物が求められてた規模。

第二号は以前の防火地域内及び準防火地域内の準耐火建築物以上が求められていた規模です。これが第二号にまとめられています。少し条文が変化していますが、求められている規模は同じです。準耐火建築物に求められる性能も同じですが、これにも延焼防止性能を有する建築物でも認められています。

第三号は以前の法第62条第2項

第三号は以前の法第62条第2項の木造建築物等に求められていた防火構造についてです。これにも他と同じでロに延焼防止性能を有する建築物でも認められています。

第四号は以前の法第64条

第四号は以前の法第64条の外壁の開口部の防火戸についてです。外壁の開口部で延焼のおそれのある部分について求められる以前の準遮炎性能に関する技術的助言が削除され、令第136条の2第三号のイの赤線のとこに記載されています。

第五号は以前の不燃性能が必要だった門や塀について

第五号は以前の法第61条第三号若しくは法第62条第2項で定めれられている高さ2mを超える門や塀で建築物に付属するものに求められる構造です。この時注意なのは、準防火地域については木造建築物等に限定されていますので注意してください。

建築基準法施行令第136条の2を見ればいい。

結局前までは、法61条や62条を見ていましたが、今回の基準法改正でまとめられているので、令第136条の2を見れば、そこで詳細に分かれています。最初の問題の選択肢で見れば準防火地域内なので令第136条の2第二号を見ればいい事になります。第二号は準耐火以上が求められていた基準ですので、耐火建築物でなくて良い。そして法改正で、準耐火建築物じゃなくても延焼防止性能を有する建築物でもよくなっています。

建築基準法第27条の耐火建築物等としなければならない特殊建築物も忘れずに

基本中の基本ですよね。耐火建築物等にしなければならない問題については防火地域等による規制と、特殊建築物による規制を両方見なければなりません。両方見ないと、問題ではひっかける為に、片方では耐火建築物にしなければならないが、もう片方の規制では準耐火建築物でも良い事になってる問題が出てきます。今回の問題で見れば、患者の収容施設がないので法第27条の規制はかかりません。忘れずに両方チェックしましょう