建築基準適合判定資格者検定合格への勉強法

建築基準適合判定資格者の試験を2度落ちて、今回3度目。3度目の正直となるように、勉強のモチベーション確保と頭の整理も兼ねてブログ内で整理します。主にややこしい問題や間違えやすい問題を重点的にまとめています。建築基準適合判定士だけでなく1級建築士の法規の試験にも役立つかも。このブログで書いてある事は、あくまでも建築基準適合判定士試験に向けての内容であり、実務での取扱い等は管轄の特定行政庁や指定検査機関に問合せてください。また、記事内容は最新の情報ではありません。

避難施設等の試験対策。2以上の直通階段や避難階段関係の設置要件は要チェック。

避難施設等の問題についての対策を今回は紹介していきたいと思います。建築基準適合判定資格者試験の考査AではNo.8で出題される範囲です。直通階段や避難階段関係の選択肢は頻出されるので要チェックが必要です。以前に階段について記事にしました。

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 ですがこれは一般構造の階段の話です。避難施設等で取り上げられる直通階段とはまた別の問題で出されますので見ていきましょう。

 

2以上の直通階段の問題について

2以上の直通階段を設ける場合については令第121条に規定されています。

 建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの
二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る。第122条第2項、第124条第1項及び第125条第3項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
三 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(5階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が100㎡を超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第123条第2項又は第3項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である5階以下の階でその階の居室の床面積の合計が100㎡を超えないものを除く。)
 イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー
 ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設
 ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。)
 ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設
 ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗
四 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ50㎡を超えるもの
五 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ100㎡を超えるもの
六 前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの
 イ 6階以上の階でその階に居室を有するもの(第1号から第4号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が100㎡を超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第123条第2項又は第3項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)
 ロ 5階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては200㎡を、その他の階にあつては100㎡を超えるもの
2 主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、同項中「50㎡」とあるのは「100㎡」と、「100㎡」とあるのは「200㎡」と、「200㎡」とあるのは「400㎡」とする。
3 1項の規定により避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは、前条に規定する歩行距離の数値の2分の1をこえてはならない。ただし、居室の各部分から、当該重複区間を経由しないで、避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は、この限りでない。

 少し長い条文です。2以上の直通階段が必要な用途や規模が並んでいます。第1項第一号の劇場等は基本的に厳しいですよね。それもそのはずです。劇場や映画館などは不特定多数が同じ時間帯に密集するからです。他の不特定多数が利用する施設は人がその施設を訪れる時間帯はバラバラです。簡単なので第一号は問題に出にくいと思います。第二号の物品販売業を営む店舗や共同住宅の第五号を第2項の倍読みと絡めての出題が多い傾向だと思います。

 H28年の問題では主要構造部が耐火構造の5階建て共同住宅で、1フロアにつき、40㎡が5戸の場合2つ以上の直通階段が要否が問われました。第2項の倍読みがなければ必要ですが、準耐火構造より上位の耐火構造なのでもちろん倍読みは適用されて不要になります。単純に200㎡と出さずに40㎡が5戸と少し計算させるとこも気をつけましょう。(計算自体はすごく簡単ですが)基本的にこの手の選択肢はほぼ倍読みとみといて間違いないと思います。

物品販売業を営む店舗は注意が必要。

 この避難施設等の問題では物品販売業を営む店舗には特に注意が必要です。まずは2以上の直通階段について言えばH27年にこのような問題の選択肢が出されました。

・主要構造部・・・準耐火構造

・階数・・・2階

・床面積・・・1200㎡(2階の売場の床面積500㎡)

これで2階から避難階段ま又は地上に通ずる2以上の直通階段が必要かどうか。答えは必要です。令第121条第1項第二号だけを見れば1500㎡を超えてないので不要な気がしますが、令第121条第1項第六号を見てください。5階以下の階で避難階の直上階なら200㎡、その他なら100㎡超えるなら2以上の直通階段が必要になります。2階なので避難階の直上階、準耐火構造なので倍読みで400㎡を超える面積なので2以上の直通階段が必要になります。物品販売業を営む店舗以外でも令第121条第1項第六号は見なければなりませんが、同条第1項第二号の1500㎡の数値に目が行きがちなので注意しましょう。ちなみにこの1500㎡を超えるというのは第122条第2項(3階以上の階を物品販売業を営む店舗の避難階段等の設置)、第124条第1項(物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅)及び第125条第3項(物品販売業を営む店舗屋外への出口)でも適用されるので注意しましょう。

避難階段及び特別避難階段の問題について

次は避難階段や特別避難階段についてです。

 建築物の5階以上の階(その主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物で5階以上の階の床面積の合計が100㎡以下である場合を除く。)又は地下二階以下の階(その主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物で地下2階以下の階の床面積の合計が100㎡以下である場合を除く。)に通ずる直通階段は次条の規定による避難階段又は特別避難階段とし、建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階に通ずる直通階段は同条第3項の規定による特別避難階段としなければならない。ただし、主要構造部が耐火構造である建築物(階段室の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)及び廊下その他の避難の用に供する部分で耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたものを除く。)で床面積の合計100㎡(共同住宅の住戸にあつては、200㎡)以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる法第二条第九号の二ロに規定する防火設備を含む。)で区画されている場合においては、この限りでない。
2 3階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物にあつては、各階の売場及び屋上広場に通ずる2以上の直通階段を設け、これを次条の規定による避難階段又は特別避難階段としなければならない。
3 前項の直通階段で、5階以上の売場に通ずるものはその1以上を、15階以上の売場に通ずるものはそのすべてを次条第3項の規定による特別避難階段としなければならない。

上記は令第122条の条文です。この条文では避難階段及び避難階段の設置要件が規定されています。ここでもよく物品販売業を営む店舗の用途の問題が出てきます。令和元年の試験でも選択肢で出てたので次回は出ない気がしますが、解説します。

・地上3階建て(各階とも物品販売業を営む店舗の用途)

・延べ面積1000㎡

2以上の直通階段を設け、避難階段又は特別避難階段が必要かどうか。これは令第122条第2項の規定そのまんまですが、ここで判断してはダメです。なぜなら、先ほどの2以上の直通階段の令第121条第1項第二号の条文を見てください。「床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る。第122条第2項、第124条第1項及び第125条第3項において同じ。」つまりこの物品販売業を営む店舗の避難階段や特別避難階段についても床面積1500㎡超えるものにのみ適用されます。ですのでこの問題の規模なら避難階段等は必要ありません。 

2以上の直通階段や避難階段関係の設置要件まとめ

 今回は2以上の直通階段や避難階段の設置要件について解説しました。2以上の直通階段に関しては倍読み確定と思って選択肢を読んでいけば良いです。そして2以上の直通階段も避難階段も物品販売業を営む店舗の場合は要注意ですよ。1500㎡を超える縛りや、1500㎡超えてなくても2以上の直通階段設置が必要になってきます。少なくとも避難階以外の階では400㎡超えてれば2以上の直通階段はいると思っておいて良いでしょう。これ以外にも避難階段等の構造や避難距離の問題も頻出してますので、又他の記事で解説したいと思います。今日はここまで。